ゆめがたり 【1】
彼の人生は順風満帆だった。
幸せな家族、仲のいい友人
素敵な恋人
大きな夢、
夢を叶え沢山の人に期待され
責任のある職に就いた。
満たされていた。
夢を叶えた彼には、
何も残っていなかった。
虚しかった、全てが壊れ始めた。
彼の状態に家族は悲しみ
家にも居ずらくなった。
友人にも今の状態は説明出来ず、
友と呼べる人は少しずつ減った。
恋人は受け入れることが出来ず、
彼を見捨てた。
夢だった仕事は苦痛で足がすくみ
仕事場で食べてもない朝食を吐く毎日。
早朝5時57分の電車は彼の命と
共に止まった。
ゆめがたり