ゆめがたり。【3】
たとえ全てが嘘であっても楽しかった。
夢に向かって頑張ってる彼らに、
全てを投げ出したとは言えなかった。
自分が必死で集めたお金を彼らの為に
使うことでしか、嘘をついた罪悪感を
埋めることは出来なかった。
少しでも彼らが前を向ければよかった
そのために私の財布が痩せることなんて
全く気にならなかった。
後輩達の背中を押した私は
すっかり痩せた財布と数少ない、
あと2、3本しかないタバコを持って、
帰路につく。
空は都会よりも星の数は見られたが、
その数の少なさに私は虚しさを感じた。
いつも火をつけるのに時間のかかる私、
私のように小さく燃える100円のライター、
まだ慣れない煙草をふかす。
来年に希望はなくて、
明るい未来が来ないと、
自暴自棄な私も今日だけは、
幸せな次の年を、
瞼の裏にだけ映せるようだ。
ゆめがたり。